禁煙治療とは
- 当クリニックでは、現在喫煙者で禁煙をしたいと考えている方を対象とした禁煙治療も行っています。
- タバコの煙には実に200種類以上の有害物質が含まれているとされ、そのうち約50種類の物質に発がん性があると考えられています。なおタバコを引き金としたがんでは、肺がんや喉頭がんがよく知られていますが、胃がんや膵がんといったがんの発症リスクも高めると言われています。
- このようなリスクを低減させるためには、できるだけ早めに禁煙に努めたいところですが、タバコに含まれる成分のひとつニコチンには、身体的依存と心理的依存(ホッとする、スッキリするなど)が重なるといった作用が働くなどします。つまり、一種の薬物依存の状態になっているので、自らの意思だけできっぱり止めるというのはとても困難です。そのため、医療機関でしっかり禁煙治療を行う必要があります。
治療に関して
禁煙治療を行うにあたって、まず当クリニックでは、これまでの喫煙歴や現在の1日あたりに吸う本数などをお聞きするなどして、患者さんの喫煙状況を把握していきます。そのうえで、治療が必要と医師が判断すれば禁煙補助薬を処方いたします。また治療を続けている間は、薬を使用したことによる体調の変化などについて医師に報告する必要がありますので、その期間中は何回か通院することになります。また通院時は経過観察だけでなく、医師が生活指導を含めたアドバイスも行います。
治療薬について
当クリニックで用いる禁煙補助薬とは、主に貼り薬でニコチンを少量摂取することで、経口による喫煙を減少させていく禁煙パッチ、ニコチンが含まれない内服薬を用いる(ニコチン置換法)ことでドーパミンを少量放出させ、ニコチン切れによるイライラ感を軽減させるほか、喫煙するたびにタバコをおいしいと感じさせなくするバレニクリン酒石酸塩錠(チャンピックス)になります。なおチャンピックスでは、禁煙開始予定日の1週間前から服用していきます。その間は喫煙しながら併用していきますが、タバコを吸ってもおいしいと感じなくなるので1週間を待たずに禁煙を開始する患者さんもいます。この場合の服用期間は、およそ12週間です。その間は、医師の指示どおりに服用し続けてください。
副作用について
副作用に関してですが、禁煙パッチは、同じ位置に貼り続けていくと皮膚がかぶれてしまうことがあるので、毎日違う位置に貼るなどして予防する必要があります。またバレニクリン酒石酸塩錠(チャンピックス)では、うつ病を発症している患者さんが使用するとその症状を悪化させる可能性もあるので処方はできません。服用によって現れやすい症状としては、吐き気、不眠症、頭痛などがあります。これらの症状がみられた場合、禁煙補助薬の使用を直ちに止め、お早めに医師へ相談するようにしてください。
保険適用に関して
禁煙治療を受ける患者さんが、同治療を行う前にある一定の条件を満たしていると医師が判断すれば保険が適用されます。適用の有無については、初回診察時に判定されます。なお保険の対象外と認定された場合は、自費診療(全額自己負担)となりますが、同様の内容による治療は受けられます。健康保険の対象になる条件は、以下の通りです。
- ニコチン依存症を診断するテスト(TDS:Tobacco Dependence Screener)で5点以上
- 35歳以上の方でブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上(例えば、25歳から1日15本喫煙している45歳の人なら、15(本)×20(年)=300であり、対象となります)
- すぐに禁煙したいと考えていること
- 医師から受けた禁煙治療の説明に同意し、説明内容に納得された時は、文書で同意(サイン等)すること